北浦

浦名 北浦(きたうら)
神社名 伊奈頭美神社
祭神 宇迦之御魂命
所在地 松江市美保関町北浦304

白(しら)ゆうを 結(むす)びあげつつ きたうらの

           波(なみ)の花(はな)さく 神(かみ)の広前(ひろまえ)

北浦

(浦巡りガイド)

  北浦は、島根半島東部の数多い砂浜の海岸の中で白砂青松・遠浅のとても広い海水浴場で、沢山の若者・家族が訪れます。北浦には九軒の民宿があり、林間学校・大学の合宿などに県外からも訪れる方が多いと聞きます。昼間疲れ果てるほど泳いで、眠い夜間講座も懐かしい思い出となります。

北浦では毎年「海の日」に神社右手の海岸で海上綱引きなどイベントを行い、海水浴客の参加で賑わいます。「海の日」は法律で、毎年第三月曜日とされており、三連休となるよう定められています。

 そんな賑わいの二つの砂浜の間に伊奈頭美神社は鎮座しています。

 正月三日には歳徳神が集落を巡るさぎちょう(とんど)が行われます。北浦では神輿の休憩所で歳徳神を慰労するのか、子供が獅子面と天狗面をかぶって踊ります。五日は家内安全の御的神事・繁栄を祈る御田植神事があります。農業と子孫繁栄を祈念する御田植神事は、神社拝殿でむしろに榊の葉を並べるもので、ここでは女性も神事に参加します。御的神事は、伊奈頭美神社近くの海岸に森に見立てた枝木の山に三本脚のやたカラスを描いた的に頭屋が弓矢で射ると云うものです。太陽の象徴とか神武天皇の道案内のヤタ烏を神主立ち会いの上、弓矢で射ると云うのは、何故でしょうか。隠岐の島町には沢山の地域で行う「客祭」で、「鬼」「カラス」、「ネズミ」を描いた紙の的を射る行事が五穀豊穣を祈願するため行われていると聞きました。

北浦

(浦巡りガイド)

  北浦は、島根半島東部の数多い砂浜の海岸の中で白砂青松・遠浅のとても広い海水浴場で、沢山の若者・家族が訪れます。北浦には九軒の民宿があり、林間学校・大学の合宿などに県外からも訪れる方が多いと聞きます。昼間疲れ果てるほど泳いで、眠い夜間講座も懐かしい思い出となります。

北浦では毎年「海の日」に神社右手の海岸で海上綱引きなどイベントを行い、海水浴客の参加で賑わいます。「海の日」は法律で、毎年第三月曜日とされており、三連休となるよう定められています。

 そんな賑わいの二つの砂浜の間に伊奈頭美神社は鎮座しています。

 正月三日には歳徳神が集落を巡るさぎちょう(とんど)が行われます。北浦では神輿の休憩所で歳徳神を慰労するのか、子供が獅子面と天狗面をかぶって踊ります。五日は家内安全の御的神事・繁栄を祈る御田植神事があります。農業と子孫繁栄を祈念する御田植神事は、神社拝殿でむしろに榊の葉を並べるもので、ここでは女性も神事に参加します。御的神事は、伊奈頭美神社近くの海岸に森に見立てた枝木の山に三本脚のやたカラスを描いた的に頭屋が弓矢で射ると云うものです。太陽の象徴とか神武天皇の道案内のヤタ烏を神主立ち会いの上、弓矢で射ると云うのは、島根半島では例のないものですが、隠岐の島町には沢山の地域で行う「客祭」で、「鬼」「カラス」、「ネズミ」を描いた紙の的を射る行事が五穀豊穣を祈願するため行われていると聞きました。

御的の神事

実は「伊奈頭美」「伊奈阿気」はともに『出雲国風土記』に見える社名であり、その社名を継承する神社が北浦の東西に鎮座していることになる

田植の神事

北浦の「稲倉」大明神、それは『雲陽誌』島根郡北浦にみえる「稲倉明神」に当たると思われるが、実は同所に「伊奈久良明神 風土記に載る伊奈都美社是なり、此処を伊奈都美浦といふ」という記載もみえ、困惑する。 

現在、北浦の西部、奈倉鼻の麓に鎮座するのが「伊奈頭美(いなづみ)神社」、東部の稲積(いなづみ)に鎮座するのが「伊奈阿気神社」である。地名と神社が入れ替わっているようにみえる。 

実は「伊奈頭美」「伊奈阿気」はともに『出雲国風土記』に見える社名であり、その社名を継承する神社が北浦の東西に鎮座していることになる。「伊奈頭美」は「稲積」、「伊奈阿気」は「稲上」と思われ、そして「稲倉」である。 

四十二浦巡りが隆盛した時期、明らかに二つの神社はそこに鎮座していたのである。一浦一社が原則と思われる中でどちらの神社が参拝対象になったのか興味深いところである。島根県神社庁の『神国島根』も困惑するところであるが、注目すべきは「伊奈頭美」神社の裏手の「奈倉」鼻の地名である。「奈倉(なぐら)」は「稲倉(いなぐら)」の「なぐら」であり、「稲倉大明神」の遺称であろう。(関 和彦)

正月子供の獅子舞
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浦名 北浦(きたうら)
神社名 伊奈頭美神社
祭神 宇迦之御魂命
所在地 松江市美保関町北浦304

白(しら)ゆうを 結(むす)びあげつつ きたうらの

           波(なみ)の花(はな)さく 神(かみ)の広前(ひろまえ)

現地までのアクセス
浦巡りガイド

(浦巡りガイド)

  北浦は、島根半島東部の数多い砂浜の海岸の中で白砂青松・遠浅のとても広い海水浴場で、沢山の若者・家族が訪れます。北浦には九軒の民宿があり、林間学校・大学の合宿などに県外からも訪れる方が多いと聞きます。昼間疲れ果てるほど泳いで、眠い夜間講座も懐かしい思い出となります。

北浦では毎年「海の日」に神社右手の海岸で海上綱引きなどイベントを行い、海水浴客の参加で賑わいます。「海の日」は法律で、毎年第三月曜日とされており、三連休となるよう定められています。

 そんな賑わいの二つの砂浜の間に伊奈頭美神社は鎮座しています。

 正月三日には歳徳神が集落を巡るさぎちょう(とんど)が行われます。北浦では神輿の休憩所で歳徳神を慰労するのか、子供が獅子面と天狗面をかぶって踊ります。五日は家内安全の御的神事・繁栄を祈る御田植神事があります。農業と子孫繁栄を祈念する御田植神事は、神社拝殿でむしろに榊の葉を並べるもので、ここでは女性も神事に参加します。御的神事は、伊奈頭美神社近くの海岸に森に見立てた枝木の山に三本脚のやたカラスを描いた的に頭屋が弓矢で射ると云うものです。太陽の象徴とか神武天皇の道案内のヤタ烏を神主立ち会いの上、弓矢で射ると云うのは、島根半島では例のないものですが、隠岐の島町には沢山の地域で行う「客祭」で、「鬼」「カラス」、「ネズミ」を描いた紙の的を射る行事が五穀豊穣を祈願するため行われていると聞きました。

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御的の神事
田植の神事
正月子供の獅子舞

実は「伊奈頭美」「伊奈阿気」はともに『出雲国風土記』に見える社名であり、その社名を継承する神社が北浦の東西に鎮座していることになる

北浦の「稲倉」大明神、それは『雲陽誌』島根郡北浦にみえる「稲倉明神」に当たると思われるが、実は同所に「伊奈久良明神 風土記に載る伊奈都美社是なり、此処を伊奈都美浦といふ」という記載もみえ、困惑する。 

現在、北浦の西部、奈倉鼻の麓に鎮座するのが「伊奈頭美(いなづみ)神社」、東部の稲積(いなづみ)に鎮座するのが「伊奈阿気神社」である。地名と神社が入れ替わっているようにみえる。 

実は「伊奈頭美」「伊奈阿気」はともに『出雲国風土記』に見える社名であり、その社名を継承する神社が北浦の東西に鎮座していることになる。「伊奈頭美」は「稲積」、「伊奈阿気」は「稲上」と思われ、そして「稲倉」である。 

四十二浦巡りが隆盛した時期、明らかに二つの神社はそこに鎮座していたのである。一浦一社が原則と思われる中でどちらの神社が参拝対象になったのか興味深いところである。島根県神社庁の『神国島根』も困惑するところであるが、注目すべきは「伊奈頭美」神社の裏手の「奈倉」鼻の地名である。「奈倉(なぐら)」は「稲倉(いなぐら)」の「なぐら」であり、「稲倉大明神」の遺称であろう。(関 和彦)