1.11~15「五十猛のグロ」の開催について

「五十猛のグロ」
                   五十猛歴史研究会 林 康二

 グロは大田市五十猛町大浦地区に伝わる小正月の行事で、地区の漁師たちによ

って伝承されてきました。特定の宗教者によらない古い信仰の形を残しています。

グロとは、行事の名称であるとともに、行事の際に竹を主な材料として作られる

独特の小屋をさす呼称でもあります。草むらや山中に建つ簡素な小屋のこと、あ

るいは草が密集している様子を言い表す語として用いられ、こうした関連から仮

屋を「グロ」と称するようになったといわれています。

記紀以前に神々(スサノヲ一行)がこの地域に上陸されたときに、住居が貧弱で、

日陰の湿気の多い穴居生活であったため、病気が流行り、漁も無く生活に苦しん

でいるのを見られて、木や竹や草をつかって、陽の当たる丘の上に家を作ること

を教えられました。人々は健康を取り戻し漁も多くなり生活も楽になりました。

グロはこれに感謝して、始まった行事と伝えられています。

一月十一日に長さ二十メートルほどの根付きの真竹二本束ねて立て、これを中心

として青竹や角材で円錐形に仮屋の骨組みを作ります。中央に立つ青竹は、センボ

クサンと呼ばれ、神の依代と考えられています。グロの大きさは、直径約十メート

ル、高さ約三メートルほどあり、屋根は莚を重ねて覆い、周囲を笹で囲んで壁とし

ます。グロの入り口には、松飾りを一対飾ります。内部には、天上から板を縄で吊

って神棚を作り、地面には木材を円形に並べ、囲炉裏を三か所に設けます。グロが

完成すると、餅つきが行われ、供物にする鏡餅が作られます。

世話人の代表がボバ(藻)に付けた海水をグロの内部にまき散らした後、センボクサンの根本に掛け、神棚に歳徳神を迎え、御神酒や鏡餅などを供えて礼拝し、無病息災や豊漁を祈願します。十五日までの四日間、地区の人たちがグロに集まり、夜遅くまで歓談して過ごします。

十四日夜には、世話人が神棚に御神酒、鏡餅、塩、鯛やホウボウなどの赤い魚を供えると一同が礼拝し、無病息災や豊漁を再び祈願して、神送りします。その後、鏡餅が神棚から下ろされ、囲炉裏で焼いて、グロに来ている人たちに配られます。

翌十五日早朝から解体が行われ、各家が持ち寄った松飾りや注連縄、古い御札とともに燃やされて、行事は終了します。          

 ・写真説明・・・「五十猛のグロは、歳徳神を祀るトンド、神を迎え・送る一連の儀礼や禁忌などの民俗的要素をよく伝えており、西日本の小正月行事の代表的なものの一つ」とされ、二〇〇五年(平成十七年)に国の重要無形民族文化財に指定されています。禁忌としては、前年に不幸のあった家の者と子どもを出産したばかりの女性はグロに入ってはならないとされています。

※ この原稿は、1月15日発行の研究会広報誌19号に掲載しますが、今年のグロの開催時期が迫っていますので、お知らせするため掲載しました。

グロ
グロの内部